美雨は、僕達が小学2年の時に隣に越してきて以来ずっと一緒に居る。小学校、中学校が一緒なのは田舎町過ぎて他に学校がなかったからだ。
高校になると流石に違う学校へ進むとばかり思っていた美雨が、何故か僕と同じ学校に入学出来た。
小学校の頃から僕は美雨の学力にずっと疑問を抱いていた。
美雨はハッキリ言わせてもらうと、バカなのだ。
それなのに、何故かテストではいい点を取る。
毎回良い訳ではなく、肝心なテストの時に限って良い点を取るのだ。
不思議じゃないか?
通例テストで40人中37位の美雨が、何故か中間テストでベスト5入りするのはどう考えてもおかしいじゃないか。
当然カンニングも考えられなくはないが、ある日、インフルエンザに掛かって美雨だけが期末試験を受けられず、後から1人で試験をした事がある。
教室には教師と美雨2人だけの状況下で美雨は見事ベスト3にランクインしてきた。あの状況でカンニングができるだろうか?
出来たとしたら、それこそ美雨はある意味天才だ。
けれど、美雨に変な噂は立たなかった。
何故ならそれは美雨がいい奴だからだ。
顔は女子の反感を受けない程度の可愛さを持っていて、身体つきは男子に受けの良いちょっとポッチャリ型の背は低め、性格は明る過ぎず静かな一面も多少有り。おまけに話し上手で、聞き上手。先生にも受けが良いけど、時々反抗もする。
美雨は、名前のせいなのか何なのか、とにかく雨が降ると外ばかり見ていてまったく授業を聞いていない。春の長雨、梅雨、夏の台風、秋雨、この期間は、ほぼ耳と目を雨に集中させている。
当然、授業からは置いていかれても仕方がない。
ある時、数学の教師がそんな美雨に怒りだし、美雨を指差して「お前、授業を真面目に聞く気があるのか?この問題答えてみろ」と無理難題を押し付けた。
窓に両肘をついて思い切り雨を見ている美雨が、二次方程式に数字を埋める事が出来たら奇跡だよ。
美雨は黙って席を立ち、黒板に向かう。
黒板消しとチョークを持ち、いきなり教師の書いた方程式を消してしまった。
教室は一瞬静まるが、教師も皆も誰も何も言わない。
何故なら、これが月に1-2回行われる恒例行事だからだ。
美雨は数学の時間だと云うのに、黒板に白いチョークでいきなり日本地図を書き出した。
地図も適当過ぎるほど適当だ。
合っているのは北海道と青森だけで、おまけに九州と四国が逆になっている。
- PR
- さゆり行政書士事務所
- 円満離婚相談センターは初回30分相談無料